昨今、飲食店、キッチンカーなどの小規模事業者の情報発信の手段をSNSに限定されている傾向が強まっているように感じています。しかし、インターネット上ではWebサイト、レビューサイト、動画サイト、ブログ、SNSなど、情報が氾濫しており、必要な情報を見つけることが難しくなっています。
そこで、より多くの人に情報を効果的に伝える方法を考えてみましょう。
SNSで情報発信をする注意点
SNSは、スマートフォンがあればアカウントの作成から投稿までアプリ内で完結できる便利な情報発信ツールです。しかし、便利だからこそ見落とされがちな問題があります。
SNSのアルゴリズムは「おすすめ」に表示される投稿を選びますが、その条件は「いいね」や「コメント」「シェア」「フォロワー数」などが複雑に絡み合っていると考えられています。そのため、投稿内容の質よりも「いいね」やフォロワー増加に有利な投稿が優先されやすく、営業時間やメニュー情報を求めるユーザーと、投稿内容とのミスマッチが生じている可能性が考えられます。
また、X(旧Twitter)、Facebook、InstagramなどのSNSでは「いいね」や「コメント」などによって、投稿への反応が視覚的に分かりますが、これらの反応が必ずしも商品の売り上げに直結するとは言えません。
届けたい全ての人に届くわけではない
SNSでは簡単に情報発信ができ、公開された時点で数多くの人に情報が届いているように感じますが、全世界の人に訴求できているわけではありません。
一般的に利用者が多いとされる、X、Facebook、InstagramなどのSNSでは「いいね」機能があり、投稿内容に対してどの程度の方が反応してくれたかが視覚的に分かりますが、「いいね」は「いいね」でしかなく、「いいね」をしてくれたからといって、いいね数に応じて、商品が売れるわけでもありません。
SNSの「おすすめ」に表示されると、表示回数が増えるため、投稿が「おすすめ」に表示されることを意識する必要がありますが、「おすすめ」に掲載されやすい条件として、「いいね」「コメント」「シェア」「フォロワー」などが複雑に影響していると考えられています。
そこで、SNSでは、どうしても伝えるべき内容よりも、「いいね」をもらいやすい内容、「フォロワー」が増えやすい内容の投稿が優先されがちになり、営業時間やメニューを知りたくてSNSを確認しているのに、タイムラインには、おしゃれに撮影された商品の写真ばかりが並び、当事者が提供している情報と、第三者が求めている情報のミスマッチが発生し、双方に不幸しかない状態が発生している可能性が考えられます。
プラットフォームサービスの仕様が変更される問題
最近では、TwitterがXに変わった際の混乱が新しいのではないでしょうか。Twitterは、2022年10月にイーロン・マスク氏による買収後、名称変更だけでなく、サービス内容や仕様も大幅に変更されました。
特に、未ログインのユーザーには投稿が表示されず、ログイン画面が表示されるようになったため、情報発信側が「情報を届けている」と考えていても、実際には一部のユーザにしか情報が届いていない可能性があります。
この問題はXに限らず、Instagramでも見られます。未ログインでは一部しか閲覧できないため、情報発信側はプラットフォームサービスの仕様によって、閲覧できる情報に制約が発生していることを考慮する必要があります。また、検索エンジンへの情報収集を制限する動きも考えられ、プラットフォームサービスへの依存を避けるため、Webサイトを介した情報発信の重要性が増していると感じています。
継続した情報発信の重要性
WebサイトやSNSのアカウントを開設した直後は更新意欲が高まりますが、時間が経つと更新が滞りがちです。その結果、古い情報が最新のまま残り、消費者に「営業していない」「放置されている」という印象を与えることがあります。
これを防ぐためには、どのツールを使っても定期的に情報を更新することが重要です。
口コミ・レビューを活用する
SNS以外の情報発信手段として、レビューサイトの利用が挙げられます。Webサイト制作にはある程度まとまった制作時間、ある程度まとまった制作費用などの初期投資が必要ですが、レビューサイトは月額数千円から利用でき、初期費用を抑えることができます。
また、口コミやレビューには、当事者からの情報よりも第三者の情報に信憑性を感じる「ウィンザー効果」や、他人が使っていると自分も欲しくなる「バンドワゴン効果」などが期待でき、雑誌、Webメディア、SNSへの広告出稿に比べると費用対効果が高いと言えます。
しかし、口コミやレビューは、商品、サービスに対する一般的な評価として公開されるため、ブランドイメージへの影響、レビューを見た消費者に影響を与える可能性を不安視している事業者がいると感じています。
本来、口コミやレビューは肯定的感想(ポジティブレビュー)、中立的感想(ニュートラルレビュー)、批判的感想(ネガティブレビュー)があることで機能しますが、消費者の思い込み、勘違いなどによる一方的な罵詈雑言、暴言にも近いレビューが投稿されることもあり、対応が難しい問題となっています。
まとめ
現在、毎日のように一生涯では消費できない映像、楽曲、小説、漫画、情報が配信され、全ての分野において情報過多の時代にあって、必要な情報をユーザーに届けることはますます難しくなっています。発信した情報は、一瞬にして他の情報に埋もれて見えなくなってしまいます。
しかし、こうした状況だからこそ、効果的な情報発信方法を模索し続けることが求められます。
自分自身を含めて、情報発信者は、SNSの特性やプラットフォームサービスの変更、そして口コミの効果を理解し、また、時代の変化に合わせて戦略的に情報を発信することで、多くの人に確実に情報を届ける方法を考えていく必要があると感じています。