Webサイトはデジタルデータのため「経年劣化はしない」と考える方がいると思います。

確かに、サーバ、記憶媒体などの経年劣化、故障はありますが、Webサイトのデータそのものは経年劣化しないかもしれません。ただ、Webサイトとしては時間とともに古くなっていきます。

まず、Webサイトの耐用年数は一般的に3年から5年程度とされていますが、これはどのような基準から言われているのか考えてみたいと思います。

何が古くなるのか

Webサイトが古くなったと感じる点として、

  • デザインの流行
  • Webサイトで使用されている技術の変化
  • CMSを利用している

などが挙げられます。

また、スマートフォンの利用が一般化したことでより小さい画面に合わせてWebサイトのデザインを調整する必要性が発生しました。

PC、スマートフォンなどの端末のディスプレイサイズに合わせて、Webサイトのレイアウトを自動で切り替える手法を「レスポンシブ」と呼びます。また、レスポンシブが実装されたWebサイトをレスポンシブサイトと呼びます。

昨今は、Webサイトによっては、PCよりもスマートフォンからのアクセスの方が多い場合があり「モバイルファースト」と呼ばれるスマートフォンでの閲覧を前提にした考え方が一般的です。

Webサイトのデザインの流行

どんなデザインにも流行り廃りがありますが、Webサイトのデザインも例に漏れず、流行や時代の変化による影響が色濃く表れます。

ディスプレイサイズの遷移

ディスプレイサイズが「XGA(1024×768)」が主流だった時代では、Webサイトの横幅は広くても、「800px」前後でデザインがされていました。現在のディスプレイサイズは「FHD(1920×1080)」「1536×864」が主流と言われ、横幅が1200pxを超えるWebサイトも一般的になっています。

通信環境の変化

現在、スマートフォンで撮影した写真の容量が「5MBを超える」場合もありますが、スマートフォンの保存領域は大容量化しており、利用者の多くが容量を気にすることは少ないと思います。

通信量も同じで、過去には大容量通信が難しく、Webサイトに15MB程度の動画を掲載した場合、表示されない、表示されても読み込み作業が完了するまでに10数分を要する、などがありました。

また、契約しているWebサーバから「大容量のファイルをWebサーバに設置することを禁止する。守らない場合は自動的に解約にする」と警告を受けることさえありました。

現在でも、Webサイトの表示速度は細心の注意を払う必要があり、特にスマートフォンの通信量を考慮する必要はありますが、過去に比べて通信量を意識することが減り、デザインに動画、大きいサイズの画像ファイルが利用できる環境になっています。

これにより、Webサイトのデザインに変化をもたらしています。

Webサイトで使用されている技術の変化

現在、OSやアプリは定期的にバージョンアップされていますが、過去にはデスクトップアプリケーションの一部は、OSのバージョンアップと同時に大規模なアップデートが行われることがありました。

これにより、CSSで新しい処理(プロパティ)が提案されてから、実用レベルで利用可能になるまでに最低でも1、2年程度を要することがありました。

ブラウザのバージョンアップ速度の変化

現在、ブラウザに限って言えば、数週間程度で定期的にバージョンアップが行われており、CSSで新しい処理が提案された場合、早い時は提案から数ヶ月以内で全てのブラウザで利用可能になっている場合があります。

ただ、これにより制作側は常に新しい技術、処理にアンテナを張っておく必要が発生し、制作側への一定の負担になっています。

CSSでの表現の変化

ブラウザのバージョンアップ速度の向上により、CSSの新しい処理が利用しやすい環境が整いました。

「CSS 2.0」の頃までは、CSSでの装飾に限界があり、多くのWebサイトでドロップシャドウやグラデーションが多用されました。特定の装飾が過剰に多用された結果、デザイナー側の感情でドロップシャドウ、グラデーションが忌避される傾向があったような気がします。

数年前にフラットデザインが流行しましたが、フラットデザインは、デザインの一貫性と使いやすさがある一方で、立体性が失われ、どのデザインも似た印象になり、識別性の低下を招いたと考えられます。

現在、フラットデザインにドロップシャドウを追加した質感を表現した「ニューモーフィズム」と呼ばれる表現へ移行しているように感じます。また、ニューモーフィズムはフラットデザインに比べて、ダークモードとの相性が良いことも理由の1つかもしれません。

ニューモーフィズムとは、最新のWebサイトのデザインのトレンドの1つで、平面的なフラットデザインに、影や微妙な凹凸、質感を加えることで、3D効果を演出するデザイン手法です。

これにより「浮いている」ような視覚効果を生み出すことができ、ユーザーインターフェースなどの要素(エレメント)として利用されています。

CMSを利用している

Webサイト、ブログを運用されている場合、個人、企業問わず、WordPressど呼ばれるCMSを利用されている方は多いと考えています。

WordPressはPHP、データベースなどを利用して動作するシステムです。日常的にデータベースを操作している感覚はなくても「phpMyAdmin」「MySQL」などの言葉に聞き馴染みがあるかもしれません。

例に漏れず「WordPress」「PHP」「phpMyAdmin」「MySQL」も定期的にバージョンアップが行われており、バージョンアップを行わない状態で使い続けるとセキュリティリスクが高まり、様々な脆弱性を抱えたままの運用になるため、適切な利用方法ではありません。

ただ、古いバージョンのWordPressは、最新のPHPでは正常に動作しない可能性が高く、バージョンアップに踏み切れない場合があり、定期的なバージョンアップを疎かにすることで、これまで蓄積した情報を失う可能性があります。

Webサイトのリニューアルを考える

Webサイトのリニューアルを考えるタイミングは悩むところだと考えています。もし、

  • Webサイトを制作してから5年以上経過している
  • モバイル端末の画面サイズに合わせた表示ができない
  • Webサイトをほとんど更新していない
  • 事業内容が変化しているのにWebサイトに反映していない

などがあれば、Webサイトのリニューアルを考えるタイミングだと考えています。

なお、今後もOS、ブラウザのバージョンアップの速度が維持され続けた場合、Webサイトの耐用年数は一般的に3年から5年程度よりも短くなる可能性が考えられます。

最近のレトロ回帰について

現在、ネット文化を構築しているのは、インターネットの利用が一般化した2000年代に20代だった世代で、現在、40代中頃から後半にかけての世代ではないかと考えています。

この時代を経た方々は、2ちゃんねる、ケータイ小説、テキストサイト、Webリング、個人サイト、前略プロフィールなどの文化に触れており、当時のWebコミュニティを形成していました。

これにより、現時点での技術を利用しつつ、Webサイトのデザインをドット文字を使用し、ケータイサイトを模したWebサイトなどにすることで、「懐かしさ」「ノスタルジア」を刺激し、現在のWebサイトとは異なる独自性のあるテイストを演出することが可能になります。

まとめ

Webサイトはデジタルデータでありながらも、技術的進歩、デザインの変化、ユーザーエクスペリエンスの向上などの要因により、時間と共に「古さ」「経年劣化」を感じさせることがあります。

また、Webサイトの耐用年数は一般的に3年から5年とされていますが、今後のOS、ブラウザのバージョンアップの頻度によっては、さらに短くなる可能性が考えられます。

Webサイトのリニューアルは、

  • デザインが時代遅れに感じられる
  • スマートフォンへの対応が不完全
  • セキュリティリスクを抱えている

といったタイミングで検討する必要があります。

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    2004年よりWebサイト制作に携わり、2010年から山口県山口市にて、Webサイトの制作、更新を専門とする個人事業主として制作業務を行なっております。

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