2022年5月に「ADHDの可能性が高い」との診断を受けました。

診断を受けて以降、ADHD関連の書籍、エッセイなどを何冊か読み、今まで自分でも「なぜこんな事が出来ないんだろう」と不思議に感じていたことが自分なりに納得することができました。

ATMや券売機の操作が怖い

昔から友人たちから「PCが組み立てられるのにATMの操作ができないって意味が分からない」と言われ続けましたが、今でもATM、券売機の操作が得意ではありません。

銀行の窓口で振り込んでもらおうと並んでいても、

「窓口だと手数料が必要になりますので、ATMをご利用ください」
「手数料を払うのでお願いします」
「私がATMの操作方法をお教えします」

と結局、行員さんにATMに促され、ATMの操作から逃げられない現実を幾度となく経験してきました。

今でこそ「これはADHDの特性によるもの」と思えますが、当時は「ATMなんて誰にでも操作ができるように開発されているはずなのに何故こんなに苦痛に感じるんだろう」と悩むこともありました。

ソワソワから逃げられない

発達障害、知的障害、精神障害のある方とのコミュニケーションハンドブック」の13ページに掲載されている「自動券売機の形がいつも使っている券売機と異なっていると操作が難しくなることがあります」「ボタンが多すぎると、使い方がわからないことがあります」に該当すると思います。

また、券売機の操作中に自分の後ろに人が並ぶと「早くしなきゃ!」と焦ってしまい、ますます落ち着いて端末の操作ができなくなります。

バスに乗ると「バス停に着くまでに小銭を用意しなきゃ…」「バス停に着くまでに両替しなきゃ…」と乗車中はずっとソワソワと過ごしていました。その結果、財布は常に小銭でパンパンでした。ソワソワを感じたくなくて、歩いて30分程度の距離であれば、バスの利用を避けて、歩いて現地に向かうこともありました。

関西で生活をしていた頃は交通系ICカードを利用しており「小銭の準備」「両替をする」などの不安から解放されたため、公共交通機関を頻繁に利用していました。

しかし、山口県に引っ越し後、「県内のどこでも交通系ICカードが使えない」状態に戻り、その状態が10年近く続きました。その結果、移動は極力、車を選択するようになりました。

やっぱり外出したい

車社会の山口県で暮らしていることに加えて、在宅の個人事業主のため日常的に外出をすることが少なく、また、気持ち的にコロナ禍の外出の自粛モードからなかなか抜け出せず、どことなく「外出する」「遠出する」感覚が希薄になったままの感覚がありました。

それでも「そろそろ関西のクライアントさんに会いに行こう」と漠然と考え始め、色々と調べ始めると、コロナ禍による行動様式の変化、人手不足、今後の人口減少などの様々な理由により、「みどりの窓口」の閉鎖、営業時間が短縮され、高性能な「みどりの券売機」の設置が進められていました。

ある日、広島県に打ち合わせに行くことになり「みどりの窓口」のある駅に新幹線の乗車券を買いに行ったところ、駅員さんに声をかけられ「乗車券の購入でしたら『みどりの券売機』をご利用ください。使い方はお教えしますので」と言われて券売機に促されました。

その時はほぼ駅員さんが操作をしてくれたため、乗車券を購入することができましたが、駅員さんの操作を横目で見ながら「俺には無理だ。それだけは分かる」と確信しました。

チケットレス乗車の利用を考える

ついに仕事で新幹線に乗る必要に迫られたため、重い腰を上げて、インターネットで新幹線の乗車券を購入する覚悟を決めました。調査の過程で、券売機だけではなく、可能な限り自動発券機も操作したくなかったので、チケットレス乗車を利用したいと考えました。

そこで、色々調べたところ「e5489」では、北陸新幹線以外はチケットレス乗車に対応していないようだったので、モバイルICOCAのために「WESTER ID」、チケットレス乗車のために「スマートEX」への登録が必要だと理解しました。

簡単にまとめると、

  • チケットレス乗車は設定すれば交通系ICカード(モバイルICOCA)で乗車できる
  • e5489」は北陸新幹線、一部在来線のチケットレス乗車のみ対応
  • 山陽新幹線でチケットレス乗車を利用するには「スマートEX」の利用が必要

こんな感じです。

まず、モバイルICOCAを作るために、WESTERに新規登録し、「WESTER ID」を入手しました。次に「スマートEX」に新規登録し、モバイルICOCAと連動設定を行いました。

これで、設定が間違っていなければ、山陽新幹線にチケットレスで乗車できるはずなのですが、スマートEXのWebサイトには「ICカードを自動改札機にタッチすることでチケットレスでの乗車が可能」と説明されているものの「モバイルICOCAはスマートフォンを自動改札機にタッチすれば乗車が可能」と書かれておらず不安が募る日々でした。

結果から言うと、(少し早めに駅に行き、駅員さんに確認したのですが)スマートフォンを改札機にNFCを利用して接触させると「EXご利用票」が出力され、無事に山陽新幹線に乗車できました。分かってしまえば本当に簡単でした。

僕は仕事中にradikoプレミアムで「FM802」を聴いているのですが、毎日のように「FM802」から聞こえてくる「WESTERポイント」「tabiwa」を耳にしており、WESTERの新規登録の作業時に「これのことを言ってたんだ」と色々と理解することができました。

大阪に行ってきました

久しぶりに大阪に行き、数年ぶりにクライアントさんに会うことができました。また、移動中はモバイルICOCAでチケットレスで移動することができました。

当初、今回の大阪出張は日帰りの予定でしたが、急遽1泊になりましたが、ホテルの予約、支払いもWebサイトから完了させていたので、チェックインもスムーズでした。

以前は通常のICOCAを使用していましたが「残高はいくらだっけ?」「駅に行ったらすぐにチャージをしなきゃ…」「何度もチャージをするのは面倒なので5,000円ぐらいチャージしちゃおうかな」と常にソワソワしていました。

今回、モバイルICOCAに変更したことで、ホテルの部屋でゴロゴロしながら、モバイルICOCAに翌日分の交通費をチャージすることができました。

また、ICOCAにチャージをしてもチャージ分がそのまま経費になるわけではありません。ただ、モバイルICOCAに変更したことで、アプリから時系列で利用履歴が確認することができるようになり、確定申告がさらに楽になりそうな予感があります。

不安を減らす努力をする

ADHDは物を無意識にどこかに置いてしまう傾向があるため、1人での外出時は可能な限り荷物を減らしたいと考えています。新幹線の乗車券を持って移動している時は、定期的に新幹線の切符を持っているか、確認していました。

だけど、スマートフォンがあれば、

  • 新幹線の乗車予約
  • 乗車する新幹線の変更
  • モバイルICOCAへのチャージ

などが可能になります。

また、今回の大阪出張では、帰りの新幹線の乗車時間が判断できなかったため、念のため、最終時刻の新幹線を予約してあったのですが、当初の予定より作業が早く終わり、16時前には新大阪に到着できたため、EXアプリからサクッと乗車する新幹線を変更することができました。

色々と便利になりキャッシュレス化が可能になる一方で、様々な情報をスマートフォンに集約することで、

  • 通信障害
  • バッテリー残量
  • 故障、紛失

などの不安が生まれます。色々な対策を行い、これまでの「不安」がなくなっても、すぐに新しい「不安」がやってくる感じを常に抱えています。

正直、スマートフォンに様々な情報を集約することに抵抗がなかったわけではありません。ただ、ADHDの「すぐに忘れる」「すぐに無くす」などの特性によるリスク、またそれらに対する不安な気持ちなどを総合的に踏まえて、利便性を優先する判断に至りました。

特にスマートフォンのバッテリーは最大の不安要素だったため、満充電のモバイルバッテリーを持ち、新幹線の乗車中はスマートフォンをしっかり充電し、新大阪駅に着いた時点で「100%」の状態にしておくことで不安を軽減させる対策を行いました。

また、以前なら「これぐらい忘れないだろう」と思っていても、今はすぐに忘れることを自覚しているため、出発前に移動先を全て調べて「◯◯駅は2番から出る」「◯◯駅は5番から出る」とメモアプリにメモを準備しました。

まとめ

多くの方に簡単にできることでも、僕には大変なことが多く、今回の経験が誰かの役に立つかもしれないと考え、ブログ記事として残すことにしました。

もし、券売機の操作が億劫で外出する機会を失っているADHDの方にとってチケットレス乗車は本当に便利です。これは外出を楽しいものにしてくれるだけでなく、ADHDの特性をちょっとだけ忘れさせてくれます。

しかし、僕らはすぐ物を無くします。すぐに忘れます。

旅行中は絶対にスマートフォンを無くさないでください。ズボンのポケットに入れずにかばんの中に入れてください。首から掛けてください。写真を撮りすぎてバッテリーを使いすぎないでください。

荷物棚に荷物を置いたことを絶対に忘れてはいけません!
僕は長距離移動時は可能な限り、荷物棚には荷物を置かないように注意を払っています。

皆さんの旅が、少しでも楽になり、充実したものになることを願って。
それでは良い旅を。

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2004年よりWebサイト制作に携わり、2010年から山口県山口市にて、Webサイトの制作、更新を専門とする個人事業主として制作業務を行なっております。

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