皆さんは起承転結を意識して長文を書いたり、全体を俯瞰し、要約して誰かに伝えることは得意でしょうか。

僕は長文を書いたり、文章を起承転結でまとめることが苦手です。企画書、提案書を書こうとしても、自分の書きたいことだけを書くとあとは何も思いつきません。また、何かを考え始めると、考えている内容以外に色々な考えが次々と思い浮かび、結局何が言いたかったのか分からなくなることがあります。

それでも、日々の制作業務で年間数百通近いメールを書いており、「メールが書けるのだから、自分の考えを文章化する方法はあるのではないか…」と漠然と考えていました。

そこで、自分なりに文章を書くことに挑戦することにしました。

140文字では満足できなくなった

ブログを書こうと考え始める以前は、X(旧Twitter)で140文字ギリギリでポストをすることで「文章を書きたい」との欲求を満たしていました。それでも、どことなく「ブログを書いてみたい…でも面倒くさい…」とモヤモヤしていましたが、徐々に140文字では自分の考えを満足に書ききれない不満が募りつつありました。

140文字の制限に窮屈さを感じるようになったことで、Xにポストする頻度が減り、ブログへの興味が芽生えました。そこで文字数の調整の必要がないメモアプリに考えや想いを書き留めるようになりました。

なお、僕は「Twitter Blue」から「X Premium」に移行した有料ユーザのため140文字以上でポストできるのですが、2009年からTwitterを使っており、140文字で表現することに一定の美学を感じていました。

ADHDだからこそ文章として残しておく

僕は2022年5月に「ADHDの可能性が高い」と診断を受けて以降、様々な対策を行ってきましたが、そのうちの1つに「些細なことでも、とにかくメモを残す」がありました。

ADHDは注意欠陥多動性障害と呼ばれる先天的な発達障害の一種で強いこだわり、不注意、ワーキングメモリー(短期記憶)が低いためにすぐに忘れる、同じ質問を何度もするなどがあります。また「多動」の特性があり、文章を書き始めると書きたい内容だけが思い浮かび、まとまりのないとっ散らかった文章になる傾向がありました。

先にも述べましたが、Xのポストを140文字で表現することに一定の美学を感じているのも「強いこだわり」に由来するものだと感じていますが、分かっていても自分でもどうにもできないのが、この障害の特性だったりします。

多動によりすぐに思いつき、ワーキングメモリーの低さによりすぐに忘れるADHDの特性を踏まえて、次のような方法で文章を書くことに挑戦しました。

短い文章を書き溜める

仕事柄、1人で脳内ブレインストーミングをすることが多く、割と常にどうでも良いことを考えています。そこで、まずはふと思いついた文章をメモアプリに残すことから始めてみました。

思いつくままに取り留めもなく文章を書いていると、長年Xにポストしていた癖のせいか、徐々に100文字から150文字前後の文章のブロックが溜まってきました。

そこで、書き溜めた文章を読み返すと、

など、同じことを何度も繰り返すADHDの特性も相まって、一見まとまりがないようで、同じようなテーマで書かれていることに気が付きました。

短い文章を集めてブログにする

そこで、書き溜めた文章をまとめることができれば、ブログになるのではないかと考えて、完全放置状態だった自分のWebサイトでブログを書くことを決意しました。

まず、テーマが近い内容を集めて再編集し、不足分を書き足す作業を繰り返していると、1つのブログが完成するような感覚です。100文字のブロックを20個集めたら2000文字のブログができる感覚に近いかもしれません。

ブログを書き始めて気が付いたこと

幼少期からある考えが思い付くと、延々とそのことを考え続ける感覚がありました。ADHDの特性により定型発達の方よりも小さいワーキングメモリーを圧迫し続けて、他のことが考えられないのではないかと考えるようになりました

そこで、頭の中にいつまでも残っている考えを、自分なりに整理整頓をして、ブログに残すことで、ワーキングメモリーをリセットすると同時にいつでも読み返せるようになり、すぐに忘れる特性にも対応できるのではないかと期待しています。

内容があっちこっちに飛ぶ

ブログを書き始める前に「こういう流れにしよう」と考えて書き始めても「あれも書こう」「これも書こう」となり取り留めのない文章になりがちです。また、書き溜めた文章は似たような内容であることも多く、第1段落で書いてある内容と近い内容が第3段落にもあるなんてこともしばしばです。

そのため、書き溜めた文章をブログにまとめる編集作業では、何度も読み返し、重複している部分を可能な限り削り、加筆していますが散漫な印象が拭えません。

説明文を書くなら人間より、AIの方が端的で要約をした分かりやすい文章を書くことができるでしょう。

読み難くても僕にしか書けない文章を

でも、AIはADHDの特性があるような内容があっちこっちに飛び、フワフワとした文章は書くことができないと考えています。それこそが、AIにはできない僕にしか書けない文章なのではないかとポジティブに考えることにしました。

全体を俯瞰することができない

ADHDには良い点もありますが、発達障害の一種である以上、生活が不便になる要素も多くあります。まず、物事を全体を俯瞰して達成に向けて計画することは得意ではないように感じます。

この特性は、ブログを書くことにも影響をしており、自分の考えを起承転結でうまく伝えられず、また整理整頓も苦手なため、書きたい内容を時系列でまとめることに長時間を要します。

しかし、メールは小さなブロックに分けて文章を書く性質があり、また、Xは140文字という制限があります。つまり、長文は書けなくても、あるテーマに対して200文字程度の文章なら書けるだろうと判断できました。

そこで、大きなテーマだけを決めて、その内容に合わせて複数のブロックを用意して文章を書けば、全体で1500文字程度のブログ記事になるという考えに辿り着きました。

ブログの書き方

少し前まで「長文を書くならPC、キーボードは必須」と考えていましたが、最近はスマートフォンで書いており、このブログはほぼほぼフリック入力で書きました。

数年前に「修士論文をフリック入力で作る大学生がいる」とWebメディアか何かで見た記憶がありますが、その時は「あり得ない!」と驚きましたが、数年後に自分でも同じことをしていました。執筆にはGoogle KeepGoogle ドキュメントを利用し、誤字はスマートフォンの予測変換、Google ドキュメントの校正機能により、最小限に防ぐことが可能になりました。

調べながら長文を書く時は断然、PC、キーボード入力をお勧めしますが、自分の考え、考察を書く時はスマートフォンの方が集中できるように感じています。

ちなみにスマートフォンは「Google Pixel 7a」です。何かとセキュリティリスクが問われる現代で、2028年までOSのセキュリティアップデートが保証されるのは魅力的でした。

ADHD特有の集中力が途切れがちでも、スマートフォンの画面サイズには制約があることで、ディスプレイモニターのように他の要素が映り込むことが少ないため、目の前の作業に集中できるのではないかと考えています。

また、僕はADHDと診断を受けて以降、2台の27インチディスプレイ(マルチディスプレイ)の利用を始めました。これにより、右のディスプレイでブラウザ、PDFなどの参考資料を表示し、左のディスプレイで作業をすることが可能になり、画面の切り替えをなくしたことで、ワーキングメモリーの少なさを補っています。

まとめ

次々と考えが思い浮かぶ状態は自分ではコントロールが難しく、脳が休みなく作業をすることになり、疲労感にも繋がっていました。しかし、ブログを書き始めたことで、突然思いついた考えに対して「あ、これってブログのネタになるかも?」と捉えることができるようになりました。

それにより「どう広げれば面白い内容になるか?」と考えることができるようになったことで、次々と思い浮かぶ考えに対して、疲労感を感じる割合が減ったように感じます。

もしかすると、ブログを書き始めたことで自分でも思っている以上に、ワーキングメモリーのリセット、記憶の外部化に成功したのかもしれません。

これからもなるべくブログとして残すようにすることで「あの頃に自分が考えていたことを後から読み返せる場所」として活用できればと考えています。

そして、このブログが、ADHDで悩む方々にとって、少しでも生きやすさの参考になることを願いまして。

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2004年よりWebサイト制作に携わり、2010年から山口県山口市にて、Webサイトの制作、更新を専門とする個人事業主として制作業務を行なっております。

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