タイトルは少し大げさかもしれません…

僕はWebサイトの制作業務をしていますが、自分自身のWebサイトの制作は億劫に感じており、また、いざWebサイトを制作しても更新作業を忘れがちで放置しがちです。

僕が自分自身のWebサイトの制作や更新を億劫に感じていた理由と、「やっぱりWebサイトは必要かもしれない」と感じたお話です。

簡単な自己紹介

僕は2004年にデザイン事務所に入社をして、Webサイトを制作する仕事に就き、2010年に個人事業主となりました。気が付くと、2024年でWebサイトの制作業に就いて20年目を迎えていました。

なぜ、僕がWebサイトの制作業務に携わることになったのかは、「Webサイト制作を仕事にした理由」「漠然とした未来の話をしよう」で想いを綴っています。ご興味があればご一読いただけると幸いです。

自分のWebサイトの制作を忘れがち

僕は「Webサイト」を制作する業務をしているため「Webサイトは依頼されて作るもの」という感覚がどことなくあり、自分自身のWebサイトを制作や更新することを億劫に感じて、後回しにし続けてきました。

また、これは、僕だけの感覚ではなく、Webサイトの制作に携わる事業者や個人事業主の多くに共通した感覚ではないかと感じています。

なぜ億劫に感じるのか

自分自身のWebサイトの制作や更新が億劫に感じる理由は、先にも述べましたが「Webサイトは依頼されて作るもの」という感覚が優先されるためです。

Webサイトを制作する場合、デザインやレイアウトをどのような仕様で制作するかを考え、写真などの素材を準備して、コーティングとも呼ばれる、HTMLタグやCSSなどを用いてブラウザで表示できるように作り込んでいく作業が発生します。

仕事では、Webサイトの制作に着手してから公開まで3ヶ月程度を要することが一般的で、その労力を1円の稼ぎにもならない自分自身のWebサイトに使うことへの拒否感が大きいのではなかったとか感じています。

ただ、それら以外にもいくつかの問題を感じています。

自分自身の業務を客観視するのが難しい

Webサイトの制作を依頼された場合、依頼者の業務内容や希望内容、Webサイトを運用する体制は整っているかなど、様々なことを想定しながら、提案をして、制作作業を行います。しかし、これがいざ自分のこととなると「Webサイトを作っているだけだし…」と途端に何も思い浮かばなくなります。

また、仕事では「社会を支える企業でありたい」のようなキャッチコピーが思いつくのですが、これが自分のWebサイトとなると、急に小っ恥ずかしくなり「いやいやいやいや…そんな大層なことはしてませんって…」となってしまい「Webサイトを作っています」みたいなキャッチコピーになりがちです。

制作実績を掲載できない

Webサイトの制作には直接依頼がある場合と、代理店などから依頼がある場合がありますが、基本的に代理店からの依頼は、僕の制作実績として、自分のWebサイトに掲載できません。タイミングによっては代理店案件が続き、複数のWebサイトを制作しても、何も掲載できないことがあり、次第に自分のWebサイトの更新作業から遠ざかります。

これはもう少し詳しくお伝えするなら、Webデザイナーとして制作した作品をアピールしたい気持ちと、守秘義務などから公表できないことへの葛藤が、更新作業への意欲をより萎縮させているのではないかとも感じています。

なにより伝えるものがない

企業のWebサイトの場合、新事業や新商品の情報、夏季休暇、冬季休暇など、1年を通して何かしらの情報を掲載できます。しかし、個人事業主の場合は新事業や新商品を発表する機会は少なく、また、休暇期間もクライアントとメールでやり取りをするため、Webサイトを介して外部に発信する必要性を感じなくなります。

誰かに頼めない

「制作する時間がない」「自分を客観視できない」のなら、他のWebデザイナーに依頼すれば良いのでは?と考えるところですが、自分自身でWebサイトが制作できるので「作ってもらおう」との考えが浮かびにくい傾向があります。

そこには「自分で作れば無料で作れるのに…」との制作費用での苦悩以外に、コミュニケーションや自分のイメージをうまく伝えきれない難しさがあるように感じます。

例えば、提案されたデザインが希望と違う場合、修正や確認作業を何度も依頼することになりますが、「この部分が納得できないんだよな…」「何度も修正を依頼すると迷惑がかかるのでは?」などと悩むことばかりで「自分で作った方が好きにできる!」と考えるのではないかと感じています。まぁ作らないんですけど…

これらの複雑に絡み合う様々な思いから、自分自身のWebサイトへの愛着が薄れて、Webサイトを忘れがちになり、放置しがちになるのだろうと思います。

仕事ではWebサイトの重要性を説いている

その一方で、仕事では「Webサイトは重要です!Webサイトを更新しないと企業の信用性は低下します!」と言っています。それに対する後ろめたい気持ちもどことなく感じていました。

また、2019年からWebサイトの制作業務と並行して、雑貨を作り始めました。それにより、ハンドメイドイベントに出店することを告知するために、ついに自分自身のWebサイトを作ることを決意しました。

ただ「とりあえず情報が掲載されていればいいだろう」程度の甘い考えは払拭できていませんでした。

コロナ禍で少しやる気が出た

2020年1月に突然コロナ禍に突入して、4月頃には過去に類を見ないほど制作業務が激減しました。また、出店を予定していたイベントは全て中止になりました。ただ、当時の希望的観測として政府などから発信される「ワクチンが開発されれば、世の中はコロナ禍前に戻る可能性がある」との言葉を信じて、急にできた空き時間を利用して、ちゃんと自分自身の情報発信ができるWebサイトを制作することにしました。

「コロナ禍で少しやる気が出た」というよりは「ワクチンができるまでの我慢だ!」と信じて、とにかく手を動かす状況を作らないと、先の見えない不安に自分の心が維持できなかったのだろうと感じています。

その後、徐々にイベント開催の条件が緩和され、2022年頃からは精力的にハンドメイドイベントに出店するようになり、徐々にイベントの開催直前になると「イベント出店情報」ページにある程度のアクセスが期待できるようになりました。

ただ、これは、ハンドメイドイベントの多くがSNSでの情報発信をメインとしていることが多いものの、SNSが検索サイトからの情報収集を制限していることで、僕のWebサイトへのアクセスが一定数あることを意味しているようにも感じていました。

イベント出店情報にしかアクセスがなかった

イベント出店情報」には常に一定のアクセスがあったものの、すでに終了したイベント情報ページへのアクセスも多く、次第に「過去の情報が掲載されていることで閲覧者に不利益な情報を提供しているのではないか」と考えるようになりました。

そこで、イベント終了後は、検索サイトの検索結果に掲載されないように

<meta name="robots" content="noindex">
<meta name="googlebot" content="noindex">

を自動的に挿入するように調整しました。このHTMLタグは、検索エンジンのクローラーに「このページを検索結果に表示しないでください」との指示を意味しますが、これにより、Webサイトへのアクセスが大幅に減ることも予想できていました。

ブログを書こうと考えた

そこで、今まで以上に真剣に「ブログを書いたほうが良いのかもしれない」と考えるようになりました。

Webサイトへのアクセス数を維持するために、イベント情報以外にも、僕の存在を知ってもらうためには、見てもらえるような情報を発信する必要があると薄々感じていました。ただ、Webサイトに関する技術ブログは多くのWebサイトやブログに掲載されています。それを僕のWebサイトに掲載することに魅力を感じませんでした。

そこで、自分が日常で感じたことや考えたことを、自分なりの視点で考察したブログであれば、僕のひととなりをそれとなく伝えることができ、他のWebサイトにはない独自性の高いコンテンツになるのではないかと考えました。また、後で見返した際に「あの頃に自分は何を考えていたか」が分かる自分への記録にもなることも魅力に感じていました。

思い通りの文章にならない

ただ、ブログを書こうとしても、何を書けば良いのか、どんなことを書けば良いのか、と考えると何も浮かびません。

文章を書き始めた際は「まとめは○○にする」と考えて書き始めるものの、次第に自分では想定していない方向に進み始める傾向があります。具体的には「話が脱線しやすい」「誤字脱字が多い」「1つの文章が長くなりやすい」「冗長的な表現になりやすい」などが挙げられます。

これらは、僕のADHDによる多動性や衝動性の特性が要因になっていると理解していますが、自分でも何とかしたいものの、それをどうやって改善すれば良いのか、どのような練習をすれば良いのか全く分かっていませんでした。

AIとの出会い

そんなタイミングでAIと出会い、ADHD特有の衝動的な話題展開を抑制する長文の書き方が練習できるのではないかと感じて、ブログを書く練習を始めることにしました。

僕がどのようにして、AIと共に長文の書き方の練習を始めたかの経緯は「記憶の外部化としてのブログ」で想いを綴っています。ご興味があればご一読いただけると幸いです。

日々のWebサイトの更新作業で気が付いた

Webサイトの制作業務を20年以上続ける中で、依頼者やWebサイトを更新する担当者の知識や経験に配慮したWebサイトを設計するように心がけてきました。いや、心がけてきたつもりでした…

しかし、自分自身のWebサイトを制作して、定期
的に更新作業をするようになったことで、Webサイトの仕様の多くが制作側の思い込みや机上の空論で設計されているという事実に直面することになりました。

例えば、Webサイトのある部分の文字を変更する際に、ある部分の画像を変更する際に、ある部分を並べ替えする際に、ちょっとした手間がかかることが苦痛に感じる部分があることに気が付きました。依頼者はその手間を「そういう仕様だろう」と考えていると思いますが、Webサイトを運用する中で、そのちょっとした手間が徐々に苦痛に感じるのではないか、と意識するきっかけになりました。

長年、Webデザイナーは「Webサイトを制作する仕事」と考えていましたが、CMSなどの登場により、ブラウザ上ではWebサイトを更新できることが当たり前になったことで「Webサイトを制作する仕事」ではなく「Webサイトの運用まで想定して制作する仕事」になっているのだと痛感しました。今までもその感覚がなかったわけではありませんが、より強く意識するようになった感じです。

自分自身のWebサイトを定期的に更新するということで、Webサイトの制作だけではなく、Webサイトの運用にも今まで以上に向き合えるきっかけになったように感じています。

まとめ

Webデザイナーとして「Webサイトは依頼されて作るもの」であり、1円の稼ぎにもならない自社や自分自身のWebサイトを制作することを億劫に感じるのは理解できます。しかし、自分自身のWebサイトを運用することで「いかに最小の作業工数で更新できるようにするか」を前提としたWebサイトの設計を意識できるようになり、依頼者にもより良い提案ができるようになります。

また、Webサイトを運用することで、SEO対策やアクセス解析などの知識も深まり、Webマーケティング全体への理解を深めることもできます。これらの知識は、依頼者へのWebサイトの改善提案に役立ちます。さらに、自分自身のWebサイトを持つことで、自分のスキルや実績をアピールする場として活用できます。Webデザイナーとしてのブランディングを確立することで、より多くのクライアントを獲得できる可能性も広がります。

現時点でも専門的な知識を持たない方でもWebサイトが制作できるWebサービスはありますが、今後はAIなどの活用により、よりノーコードで、より直感的にWebサイトを運用できるようになると感じています。「綺麗で見やすいWebサイトを作ります!」だけでは成り立たない時代は確実にやってきます。いや、それはすでに目の前に迫りつつあるようにも感じています。

「Webデザイナーこそ、Webサイトを制作して、しっかり運用する必要がある」とは強く断言できませんが、Webサイトを運用することは様々な場面で役に立つ経験につながると信じています。

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    2004年よりWebサイト制作に携わり、2010年から山口県山口市にて、Webサイトの制作、更新を専門とする個人事業主として制作業務を行なっております。

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