様々なSF作品で、空飛ぶ車、ロボット、車の自動運転、人工知能(AI)、リニアモーターカーなどが登場する未来が描かれてきました。例えば、1960年代の日本のアニメ「鉄腕アトム」では、人間とロボットが共存する未来が描かれていました。
2025年になっても、空飛ぶ車の実現はまだ不確実な部分が多いですが、その中でも特に実現が難しいと考えていた車の自動運転や人工知能が、少しずつ実用化に近づいていることにワクワクしています。
特にAIの学習能力はインターネットの発展とともに急速に進化しており、AIの技術の向上によっては、車の自動運転がレベル5に達する日は遠くないのかもしれません。
実は身近にあるAI技術
2022年にChatGPTが登場して以来、AIは文章作成、翻訳、プログラミングなど、様々な分野で活用されるようになりました。しかし、かつては実現が困難と考えられていたAIは、実は、ChatGPTの登場以前から私たちの身近にありました。
スマートスピーカーや画像編集
Amazon EchoやGoogle Homeなどのスマートスピーカーでは、音声認識や自然言語処理にAIが活用されています。また、画像編集機能として有名な「消しゴムマジック」も、AIによる画像認識や不要な要素の判定によって実現しています。
つまり、「スマートスピーカー」や「消しゴムマジック」のように、AIを連想させない名前で呼ばれるサービスが増えてくると、利用者はAIを使っていることに気付かないまま、AIの恩恵を受けている場合があるということになります。
AIを搭載したチャットボット
AIを搭載したチャットボットは、Webサイトやアプリで、質問に答えてくれたり、問題解決を支援してくれたりします。24時間365日対応してくれるため、深夜や早朝でもすぐに質問できるため便利です。
ただし、AIチャットボットはまだ発展途上であり、複雑な質問の場合、意図やニュアンスを理解できないことがあります。その場合は、人間のオペレーターと話す必要がある場合もあります。
しかし、複雑な問題を抱えた利用者が人間のオペレーターとやり取りをしたい状況であっても、AIチャットボットとのやり取りに時間を費やし、人間のオペレーターに繋がるまでに経路が複雑だった場合、顧客離れや顧客満足度、ブランドイメージが低下するリスクを孕んでいます。
現時点で、AIは完璧な道具ではない一方で、使い方次第では日常の業務の大幅な効率化が期待されています。また、2022年11月にChatGPTが登場して以降、業務だけではなく一般利用者にも広く浸透し、現在では様々な場面で活用されています。
AIの活用方法
AIは万能のように思えますが、実は、特定の分野でのやり取りやリストアップは得意な一方、日常会話や雑談は苦手な印象があります。AIの得意な部分を理解し、うまく活用することで、日々の業務の負担を軽減することができます。
以下はその一例です。
文章の作成
筆者の経験、体験などが基になっているブログなどは、今後も人間が書き続ける領域と考えていますが、事業内容、商品紹介、長期休暇など定型文的な内容は、AIに任せるのが良いと感じています。
特に「〜の業務内容を200文字で考えて」と依頼すれば、数秒で生成してくれます。また、生成された文章が期待した内容と異なる場合でも依頼内容を調整することで期待通りの文章に近づけることが可能になります。
AIは、長文でない限り冗長になりにくく、要約した文章を生成するのが得意です。ただし、人間のように修飾語や比喩を多用した表現は苦手な傾向にあり、場合によっては、AIに校正してもらうだけでなく、人間が加筆修正する必要があるでしょう。
また、AIは人間とは異なる方法で文章を読解するため、5,000文字程度の文章であっても数秒で読解することが可能です。そのため、文章全体の評価や文章の流れに違和感はないか、誤字脱字の確認などを依頼することで、より完成度の高い文章にすることが可能になります。
1人で脳内ブレインストーミング
企画書やデザインで、特定のテーマで数十個ものアイディアを出すのは至難の業です。しかし、AIに「赤色のものを50個考えて」「ポジティブな言葉を50個考えて」と依頼すれば、数秒で候補を提示してくれます。AIを活用することで、1人でもブレインストーミングを行い、アイディアを膨らませることが可能になります。
ジェネレーションギャップを埋める
新卒者向けの求人情報の文章を作る際に、40代の担当者が20代のターゲット層に響く文章を考えるのは想像している以上に難しいです。担当者が20代の頃の経験で考えても時代の変化には合わない場合もあります。そこで、AIに「20代の新卒者向けの採用情報の紹介文を考えて」と依頼すれば、40代の担当者が考えるよりも最適な文章を提示してくれる可能性が期待できます。
センシティブな問題を未然に防いでくれるかもしれない
ポジティブな記号として有名な「サムズアップ」は、ある国では性的や侮辱的な意味合いを持つとされています。サービスや商品の国際的な展開を検討する場合、ポジティブな意味で制作したデザインが、侮辱と捉えられる可能性があります。
AIは全世界の様々な言語の情報を学習しており、AIに確認することで、完全に防ぐことは難しくても、ある程度、未然に防ぐことが期待できます。
AIはバイアスの影響を受けにくい
AIは、大量のデータを処理し、学習することで、常に精度を向上させています。また、感情や偏見に左右されずに判断できるため、人間が無意識に陥ってしまう認知バイアスなどの影響を受けにくいという特徴があります。
また、AIは、人間が見落としていた可能性に気づくきっかけを与えてくれるかもしれません。すでに、工業、医療、金融、教育、採用など、様々な分野でAIが活用されています。AIの処理能力と3Dプリンターなどの最新技術を組み合わせることで、製造現場などでは、これまで以上に速いスピードで技術革新が進む可能性があります。
ただし、AIの学習データに偏りがある場合は、AIの回答も偏ってしまう可能性があります。学習データの偏りは、AIのリスクの1つとされています。
AIは何度でもアドバイスをしてくれる
AIは、人間の作業を支援するために、何度でも提案やアイディアを提供してくれます。
しかし、そのため、AIとのやり取りに終わりが見えなくなることがあります。あるタイミングで、AIに「素晴らしいブログが完成しました。公開されるのを楽しみにしています」と言われたので、「やっと完成した!」と安心したのも束の間、加筆修正後に再度校正を依頼すると、また新たな提案をされてしまうことがあります。
AIに「完成!」と言われたにもかかわらず、さらに修正の提案をされると、「もっと良くできるのかも…」と悩んでしまい、無限ループに陥るのが人間の性です。AIは便利なツールですが、AIの提案に振り回されすぎず、執筆者自らが「これで完成!」と決断することが大切になります。
また、AIに校正を依頼する際は、「この文章は完成しました。提案は必要ありません。誤字脱字のみ確認してください」のように、AIの役割を明確に伝えることが効果的です。
人間のように振る舞うけども…
人間は、無機物であっても自分たちと同じように振る舞うものに対して、好意的に感じる傾向があります。これは「擬人化」と呼ばれる心理現象で、ぬいぐるみを例に挙げると分かりやすいかもしれません。
AIも、人間のように振る舞うため、人間は擬人化の影響を受け、無意識に信頼を寄せてしまう可能性があります。「AIなら私の意図を理解してくれるはず」という期待を抱きますが、現時点では、AIは人間の意図やニュアンスを完全に理解することはできません。
僕が、AIが人間のように振る舞うことで感じた違和感を「AIの人間らしさへの違和感」に詳しく掲載しております。ご興味があればご一読いただけると幸いです。
また、AIが提示する情報が正しいとは限りません。
「AIはあくまでもツールの1つ」との感覚を忘れないことが情報リテラシーとして重要になります。AIの可能性を最大限に活かすためにも、AIの能力を理解し、適切な距離感を保ち、客観的な視点を持つことが大切です。