子供たちが幼少期、様々な絵本を購入しました。
その中の1冊に「ぼくらの地図旅行」がありました。
「ぼくらの地図旅行」は、小学5年生のタモちゃんが同級生との会話から、地図旅行をすることになり、同級生のシンちゃんと一緒に地図を頼りに目的地を目指すお話です。
そのため、絵本の中に地図や地図記号などが登場するため、幼少期の子供たちには「少し早いかな」と感じたものの、絵が細かく書き込まれており「ここの交差点を曲がると何があるんだろう」と想像する面白さがあると考え、何となく購入しました。
ふと「ぼくらの地図旅行」をパラパラと読んでいると、何となく「この話を知っている気がする」との気持ちになり、「あとがき」まで読んだところで、僕が子供の頃に何十回、何百回と毎日のように繰り返し読み、最後には各ページがバラバラになり、子供なりになんとかセロテープで引っ付けて、それでもどうしようもなくなって捨てたぐらいに思い出のある絵本だったことに気がつきました。
それが、約30年ぶりの「ぼくらの地図旅行」との再会でした。
絵本の中に登場したものが細かく描かれている楽しい「あとがき」を読んでいたら、「ぼくらの地図旅行」の文章を書かれた那須正幹さんは山口県防府市在住で、「ぼくらの地図旅行」は「吉敷郡秋穂町(現、山口県山口市秋穂)」をモデルにしており、また、絵本に登場する地名の一部は実際の地名をそのまま使っていると書かれていました。
当時、僕は山口県山口市阿知須で暮らし始めて数年が過ぎ、数年間の生活の中で山口市の地名にも少しずつ慣れ、また、阿知須は秋穂に隣接しており、まさか、自分が子供の頃にボロボロになるまで何度も読み返した本のモデルになった場所の近くで暮らしていると考えておらず、色々な記憶が思い起こされたような感覚になりました。
あとがきの最後には「実際の秋穂町も絵本同様にすてきな町です。きかいがあれば、みなさんもぜひ、地図をかた手に、タモちゃんたちの歩いた道をたどってみてはいかがでしょうか。きっと楽しい地図旅行ができると思います。」と書かれていました。
当時は、子供達がある程度成長した頃に地図を片手に、中辻駅のモデルになった四辻駅からタモちゃん、シンちゃんが歩いた場所を一緒に歩いてみたいと考えていましたが…
小学校高学年、中学生になった子供たちはとても忙しそうで、なかなか実現できていません。
僕が繰り返し読んでいた「ぼくらの地図旅行」はボロボロに今は手元にありませんが、今も僕の記憶のどこかに残り、30年近くが経過してなお、僕と子供の思い出作りのきっかけになっていることを本当に嬉しく感じています。